【NHK】『あさイチ』トピック「食中毒に注意 気をつけたいポイント」 出演

【NHK】 『あさイチ』(2025年6月19日放送分)
トピック「食中毒に注意 気をつけたいポイント」に管理栄養士の藤原朋未が出演しました。

弊社が先月リリースした
「栄養士・管理栄養士100人に聞いた 食中毒リスクのある自家製レシピ」に関連した内容で、
先週2つ目の拠点としてオープンしたばかりの弊社キッチンスタジオで取材を受けました!

気温がぐんと上がり、衛生管理に十分に注意したい季節に突入しました。

そこで今回、
食中毒リスクの高い、自家製サラダチキンの安全な調理方法について解説しました。


栄養士・管理栄養士がもっとも注意喚起したい自家製レシピは「サラダチキン」。

沸騰したお湯に鶏肉を入れて余熱で加熱する、
といったレシピがSNSなどいろいろなサイトで見られますが、
加熱時間が短く、十分に熱していないケースもあり、食中毒対策としては心配です。


食肉の安全な加熱条件は“中心温度と加熱時間”が重要になります。


鍋の種類、湯量や鶏肉の重量など同じ条件で湯煎レシピを検証したところ、
鶏肉がわずか0.5cm厚いだけで中心温度が上がりきらない(食中毒リスクがある)という結果に。


取材中、何枚のサラダチキンを作ったことでしょう…。
(検証の詳細は記事の後半で紹介しています。)


検証結果を踏まえ、裏付けのないレシピや見た目の判断だけでは、
完全に安全な調理をするのは難しいことをお伝えしました。


そこで、番組では、藤原がおすすめする
電子レンジで作る「簡単しっとりサラダチキン」のレシピをご紹介。



食中毒対策の重要なポイントは、熱が均等に通るよう鶏肉の厚みを揃えることです。


下味をつけた後、常温で10分程度置きます。
これにより鶏肉の温度を上げ、加熱ムラを防ぐことができます。


600Wの電子レンジで、片面を2分半、裏返して2分、合計で4分半加熱します。



これだけでしっとりジューシーなサラダチキンの完成です!

最後に、普段皆さんが買い物時に使用される
「エコバック」の管理方法についても監修しました。


皆さんのエコバックは清潔ですか?


もし鶏肉のドリップがついてしまった場合、
洗える素材は、こすり洗い後に洗濯を。
洗えない素材は、アルコール消毒をしてよく乾かすことが大切です。

洗わずに利用し続けていると、食中毒のリスクがありますのでご注意くださいね。

スタジオでは、解説を見たゲストの綾瀬はるかさんも
「鶏肉にあたったっていう人、まわりに結構いる」とコメントされていました。



電子レンジでのサラダチキンレシピの他、
下記では湯煎でのレシピもご紹介しています。

ぜひ調理の正しい知識を身につけて、
管理栄養士お墨付きレシピで、安全に「サラダチキン」をお楽しみくださいね!


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ここからは、
番組では放送できなかった検証結果のご紹介や、
皆さんが知りたい疑問・質問などにお答えします。


今回の取材のきっかけとなった、
栄養士・管理栄養士100人にアンケートを行ったニュースリリースでは、

「食中毒の観点で注意が必要な自家製レシピ」の第1位に『サラダチキン』が選ばれました。

栄養士・管理栄養士からは、食品衛生の観点から
・加熱不十分の可能性が高い
・低温調理の自己流は危険
・安全性の低いレシピが多く見られる
などの声が寄せられました。

■食肉による食中毒防止のための加熱条件をご存知ですか?
多くの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。
食中毒対策の一つとして、中心部を「75°Cで1分以上」加熱することが目安です。

「75℃、1分」と同等な加熱殺菌の条件は
「70℃、3分」
「69℃、4分」
「68℃、5分」
「67℃、8分」
「66℃、11分」
「65℃、15分」
が妥当と厚生労働省より提示されています。※1
また、63℃の場合は30分以上の加熱が必要であることが食品安全委員会HPより公開されています。※2

上記より、鶏肉を調理する際は、加熱条件を守ることが食中毒予防に重要ということがわかります。

しかし近年の物価高や健康志向の高まりを背景に、家庭で料理をする機会が増えている中、SNSでは思わずマネをしたくなる映え写真やシズル映像とともに、時短・簡単で再現性の高い「自家製レシピ」が多く投稿され注目を集めています。
その一方で、衛生に関する正しい知識が伴っていないまま拡散されている実態も見受けられます。


■SNSでよくみられる、熱湯に入れて放置するレシピで検証してみました!

『サラダチキン』は鶏胸肉を低温でじっくり加熱するレシピが多いですが、家庭では温度管理が不十分だと中心部までしっかり火が通らず、細菌が残る可能性があります。
特に「ポリ袋で湯せん」「お湯ポチャ」は注意が必要です。
実際によく見るレシピを検証してみました。

【条件】
鶏むね肉 1枚(300g)
▼下味
・塩:小さじ1/2
・砂糖:小さじ1
・酒:大さじ1

▼重量はすべて300gとし、1番厚い部分の厚さを調整する。
①3.5cm
②3.0cm にて検証

▼冷蔵庫から出してすぐに、フォークで穴をあけて耐熱ポリ袋へ入れて「下味」の調味料を刷り込み10分程度おく。
空気を抜いて、袋をしっかりと閉じる。

▼熱湯を沸かして鶏肉を入れる。
湯量は(1)1.5L (2)1.2L (3)1.0L (4)2.0L にて検証

▼蓋をしてすぐに火を止めて余熱で火を通す。

▼室温 26.5℃程度


■その結果は…
【湯量と鶏肉の厚さの違いによる中心温度計測】

「厚さ3cm、重量300g」の鶏肉の場合、同条件における安全基準を満たす加熱は
「調味料を揉みこんで10分程度置き」
「1.5Lの沸騰した湯」に入れて蓋をして熱で45分間である。
「2.0Lの沸騰した湯」では30分間である。

「厚さ3.5cm」では(1)(2)(3)共に湯量を変えても安全基準に達しなかった。
いずれも鶏肉の断面に赤みはなく、見た目から判断することはきわめて難しい。

*
今回、室温26.5℃ほどで検証しています。
真冬の寒い部屋で行えば、結果も変わります。
また鍋の厚み(保温性)、同時に2枚入れた時、袋に入れず直接湯の中に入れた場合など、その環境下で結果は変わるので注意してください。


■安全・簡単に作る「サラダチキン」

で、結局どのように作ればいいの?
ということでレシピをまとめました。


湯煎で作るサラダチキン
【材料】1枚分
鶏むね肉 1枚(300g3cm厚)
※鶏肉が分厚い場合は開き、厚さ3cm以下にしてください。
 ▼下味
・塩:小さじ1/2
・砂糖:小さじ1
・酒:大さじ1

【用意するもの】
・耐熱のポリ袋
 アイラップや100均の湯煎用ポリ袋など
・たっぷり(1.5L)の熱湯

【作り方】

(1) 鶏むね肉は冷蔵庫から出してすぐ、耐熱のポリ袋に入れる。
フォークで穴を数箇所刺して 「下味」を揉み込み、空気を抜いて封を閉じ、10分ほど置く。

(2) 鍋にたっぷりのお湯(1.5L)を沸かす。

(3) 熱湯に(1)を入れて蓋をし、火を止めて、45分放置し余熱で火を通す。

(4) 45分後、湯から取り出して食べやすい大きさに切る、またはほぐす。

※すぐに食べない場合は常温で放置せず冷蔵庫に入れて保存してください。
※室温や鶏肉の重量・厚さ・温度、湯量、余熱時間など、さまざまな要因で中心温度は変化します。
各家庭で調理する際は信頼できるレシピを選び、指定された条件をしっかりと守って調理することが大切です。


■気になる食中毒…これ実際にどうなの? Q&Aにお答えします!

【Q】
使った包丁、まな板、ボールなど肉が触れたものは使うたびに洗った方がいいでしょうか?

【A】 
はい。生の肉(肉に限らず、魚なども)が触れたものは必ず洗浄をしてください。


【Q】
ふきんも雑菌が繁殖するかと思うのですが、どれくらいの頻度でどのように洗うのがいいでしょうか?

【A】
ふきんに雑菌が付着・増殖することで二次汚染の原因となる危険があります。
洗う頻度は調理後、使用するたびに行うのがよいです。

<ポイント>
・調理台用、食卓用など用途別、作業別に区別する。
 *生肉(ドリップ)が付いた場所を拭く場合はキッチンペーパーや使い捨てふきんを使用がよい。
・毛羽立ちや汚れ等がでたら廃棄し、定期的に新しいものに替える。
・材質はタオル生地より、不織布の方が望ましい。
 *タオルの方が細菌が付着、増殖しやすいため。
・ふきんの洗浄は漬け置き→手洗い→次亜塩素酸ナトリウム消毒(ハイター等)
 →乾燥がよい。※3

【Q】
食中毒は怖いと思いますが、正直めんどうです。
料理の際の安全で手間を省ける裏技、おすすめの方法など、あれば教えてください。

【A】
食品衛生の基本「つけない」「ふやさない」「やっつける」。
手間をはぶくには、「つけない」ことを意識していただくのがおすすめです。

▼手間を省くワザ
(1) 調理手順は生野菜やフルーツ→加熱用野菜の調理→生肉・生魚・生卵の調理の順で行う
*まな板も「肉」「魚」「野菜・果物」(「加工品」)ごとに使い分けるのがベストです。
しかし、1枚しかない場合は調理手順を守っていただくのがよいです。

使い分ける場合、こんな商品もあります!
4種使い分けまな板(Joseph Joseph)
3種使い分けまな板(ニトリ)

(2) 使い捨てグッズを活用する
例)
・使い捨て手袋を使用する
・まな板シートを使用する
 (100円ではないですが、100均や3coinsなどでも売っています。)
・ボウルの代わりにポリ袋を使用する
・生肉を扱う調理台にラップを敷いておく
 →もしドリップがついても、ラップを剥がして捨てればよい。
・使い捨てスポンジを使用する
 (ニトリや、100均でも売っています。)

※生の肉・魚を洗ったスポンジ(細菌がついている)で生の野菜などを食べるまな板やボウルを洗うのは二次汚染の危険に繋がります。
まな板だけでなくスポンジも分けるのがベストですが何個も用意しておけないと思うので使い捨てのものを用意しておくと便利です。

(3) 洗い物をなるべく減らす調理工程に
例)
・キッチンバサミで肉を切る
 →包丁とまな板の洗い物が減らせます。
・焼きの場合はフライパンの上、レンジの場合は耐熱皿の上などで下味や衣付け、調味を行う      
 →ボウルの洗い物が減らせます。
・生肉を扱う手は片手のみと決め、もう片方の手で調味料を入れたり調理器具を扱う
 →手洗いの回数が減らせます。

※上記のコツなどを配慮して「つけない」工夫をしても、どうしても食中毒菌がついてしまうものです。

「増やさない」…加熱する際は75℃1分または同等の基準で加熱する。
調理した食材はすぐに喫食。
食べない時は冷蔵庫等で保管。
(大皿に盛って1~2時間食卓に出しておいて残ったものは菌が増えている可能性があります。
お弁当に使う予定なら先にとって冷蔵庫・冷凍庫に入れておくなどの工夫を。)


「やっつける」…使うたびに消毒は難しくても、1回の食事の終わり・1日の終わりには消毒を。
汚染されたまな板や包丁は洗った後、次亜塩素酸ナトリウム液に漬ける、もしくは熱湯で消毒する場合は、熱湯をゆっくりかけたり、煮沸したりすることで、75 ℃が1分間以上保たれるようにしましょう。

皆さんが安全な食卓を囲めるよう、参考になればうれしいです。

【参考】
※1 厚生労働省 資料「食肉の加熱条件に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf

※2 内閣府 食品安全委員会
「肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!」
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/shokuhniku_teionchouri.html

※3 文部科学省「洗浄・消毒マニュアル 11 4.」

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